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後見人との取引



先日、被後見人の居住用不動産の売買を行いました。


被後見人である売主の方は3年前に事故に遭い今も意識が戻らず施設に入っています。法定相続人はご兄弟一人だけとの事で遺言書はありません。そのご兄弟も高齢で体調を崩され入院が必要となったため、成年後見人の弁護士から不動産を現金化し将来の損失を抑えたいとのことでした。


【所有しているだけで財産が減っていく状態】
対象不動産は中古マンションでしたが、固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金で年間50万円以上の維持費がかかります。被後見人の居住用不動産の場合、家庭裁判所の許可がなければ、売ることも貸すことも出来ません。その理由は被後見人の方が怪我や病気から回復して施設を退所する際、帰る家が無いと困るからです。

【もし法定相続人であるご兄弟の方が先に亡くなった場合どうなるのか?】
法定相続人であるご兄弟の方にお子さんがいれば代襲相続で、そのお子さんが法定相続人になります。お子さんがいない、若しくはすでに亡くなっている場合は、相続人不存在となり、特別縁故者(裁判所が認めた)がいない限り財産は国庫に帰属します。


優先したのは、売主による責任を全て免責
売主の方は意識がない状態ですので、引渡し後に契約不適合や隠れた瑕疵が見つかっても対応が出来ません。成年後見人の弁護士も財産管理はしていますが、その物件に居住経験がないわけですから設備等の不具合もわかりません。

【買主は宅建業者】
買主が宅建業者の場合、売主の契約不適合責任や瑕疵の責任を全て免責できるからです。逆に宅建業者が売主の場合、契約不適合責任や隠れた瑕疵の責任は2年以上でないと認められません。知り合いの宅建業者に無理をいって責任だけ被ってもらう様な取引となりました。


財産を守るうえで大切なこと
これまでにも痴呆症などの理由で後見人との取引にも携わってきましたが、今回のように突然の不幸で意識がない売主とその成年後見人との取引は初めてでした。近年のコロナ渦で人の死が身近になったことから相続対策の相談が随分増えました。元気だから自分は大丈夫などと思わず、元気だから相続対策も出来ると考えることが大切です。









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